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コーランと過激派

その他 回答希望宗派 イスラム教 回答期限 2021.08.23
2021.08.20

タリバンがアフガニスタンを取り戻したニュースをみて、イスラム教のある考え方を耳にしました。ガチのムスリムは「異教徒を殺す事は、彼らの魂を救う事である」と考えている。
ムハンマドが記した神の言葉であるコーランに、その様に解釈できる内容が記されていて、「コーランは絶対だ」と考える者が、一部の過激派、ISやアルカイダとなっていると。異教徒を殺す事に罪悪感など無く、寧ろ良い事をしてあげていると思っていると。これは本当の事なんでしょうか?ある「ムスリムは解釈が違う」と言っていましたが、どの部分で、何がどの様に違うのか?詳しく知りたいです。

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回答 1 件

回答は各回答者の個人的な意見で、宗派によって見解が異なることがあります。多くの回答から質問者様にとって、一番良い答えを探してみてください。

寛容が21世紀のキーワード

2021.08.20

 ホライズンさん、アッサラームアレイコム!ホセインと申します。私が物心ついた頃、ニュースではイラン・イラク戦争が流れていました。そして中学生の頃、旧ユーゴスラビア紛争が起こり、「ムスリム」という言葉を聞くようになりました。高校時代に世界史を学び、異文化としてのイスラームに深く興味を持ち、大学はイスラームに関する歴史を専攻しました。実際にイスラーム諸国を遍歴し、ムスリムたちと対話をしたり、その文化に実際に触れたりしましたので、一般的な日本の方よりはイスラームについて知識があるかと思います。そのあたりの経験からご回答させて頂きます。
 ホライズンさんにまずお伝えしたいのは、イスラームについて日本の学校教育でほとんど触れられることが無く、そして普段の生活でもほとんどイスラームと触れる機会が無いため、日本の方々はイスラームについての知識がほとんど無いということです。例えばホライズンさんは「ムハンマドが記した神の言葉であるコーラン」とありますが、実はムハンマドは文盲であり、彼はコーランを記してはいません。このように小さいことかもしれませんが、日本の方々のイスラームへの理解不足はやはり知識の無さが根本にあるかと思います。
 そして、「異教徒を殺す事は、彼らの魂を救う事である」とありますが、私はこのことについては正直聞いたことがありません。ただ、最近のマスメディアの特徴として前後の文脈を無視して、人に印象に残る言葉だけを切り取り、それを強調するという手法があります。そう考えると、コーランにはこのような一節があります。「あなたがたに戦いを挑む者があれば、アッラーの道のために戦え」。これだけを切り取れば、確かに神のために戦う=異教徒を殺すことをいとわない、のように解釈できるかもしれません。しかし、このコーランの一節には続きがあり、「だが侵略的であってはならない。本当にアッラーは、侵略者を愛さない。」(2章190節)とあります。つまりイスラームでは侵略的な戦いは認めておらず、あくまでもイスラームへの信仰が危険にさらされる場合に戦いが認められているのです。また、「だがかれらが(戦いを)止めたならば、本当にアッラーは、寛容にして慈悲深くあられる。」(2章192節)ともあります。つまり、イスラームはどんな場合でも戦いを認めているわけでもなく、更に戦いが終われば相手を寛容に慈悲深く受け入れる宗教なのです。
 事実、日本ではイスラームは排他的な宗教と思われがちですが、コーランには「あなたがたには、あなたがたの宗教があり、わたしには、わたしの宗教があるのである。」(109章6節)や「宗教には強制があってはならない。」(2章255節)という一節があります。また、歴史的に見ても最後の世界帝国と言われているトルコを中心としたイスラム帝国であるオスマン帝国は、税を払えばイスラームではない宗教を信仰することも認められていました。(いわゆるミレット制)ですから、ホライズンさんが疑問に思われるようにISやタリバン、アルカイダが「異教徒を殺す事に罪悪感など無く、寧ろ良い事をしてあげていると思っている」とすれば、それはイスラーム世界ではあくまでも異質な、どちらかといえばイスラームの本質とは違うということになります。
 私はISやタリバン、アルカイダなどのいわゆるイスラーム原理主義者達は、「ムハンマドやその教友たちが生きた時代の状況に回帰することを目指している」のであり、それを達成するためには戦いが伴うという考え方なのだろうと理解しています。それがイスラームとして正しいかどうかはホライズンさん自身もコーランやハディース(ムハンマドの言行録)を実際にお読みになり、その中で判断されるのが良いかと思います。イスラーム世界ではこの「判断」が大変大切です。
 いずれにしても、私はイスラームは「寛容」がキーワードになっている宗教だと感じています。イスラーム世界を旅していると、人々が大変親切にしてくれます。ただ旅をしているというだけで、一緒に食卓を囲んだり、また泊めてくれたりすることもあります。また、犯罪に巻き込まれるなんて言うこともありません。これはイスラーム世界を旅しないと分からないことですが、彼らからすれば異教徒である日本人である私を大変大切にしてくれます。先述したようにコーランでは「寛容」についてしばしば言及があり、イスラーム世界は自然と寛容の素養が育っているのだと思います。この寛容ということが私は21世紀のキーワードであると思っています。違いを攻撃するのではなく、違いを尊重し受け入れる。これができれば、21世紀はそれこそ持続的な成長のある時代になるのではないかと感じています。
 すみません、長々と書いてしまったのですが、最近は日本各地にイスラームの宗教施設であるモスクが築かれています。特に有名な代々木上原にある東京ジャーミー(ジャーミーはトルコ語でモスクのこと)はイスラームについての中々分かりやすいHPを作成しています。https://tokyocamii.org/wp-content/uploads/2019/11/2014.01.01_Islam-QA.pdf
もしよろしければ、ご一読ください。やはり「知る」と「偏見」や「先入観」から解放されると思います。そして是非一度モスクを訪れてください。ムスリムたちがそれこそあなたを寛容に受けれいてくるはずです。(実際私は大学生の頃、初めて東京ジャーミーを訪れた時に、あるムスリムが日本語に訳されたコーランをくれました)
 いずれにしてもイスラームを正しく理解し、世界を良い方向へ進めようとしているホライズンさんのことを神様はきっと見守って下さっています。
 インシャアッラー。
 

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質問者 ホライズン

2021.08.23

ホセイン様。
明確な回答を頂きまして、有難う御座います。
腑に落ちた&調べてみようと思います。

質問内容は日本でトップクラスのインフルエンサー(配信界隈の切り抜きで有名な、論破王、元〇チャンネルの管理人)が、何十万人も見ている配信内容で、さも当たり前の様に語っていましたが、考えてみると非常に怖い事ですね・・・。

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