夢を夢占いで調べてみると、未来のことも含め的中していることが多いです。最近はあまり良くない予兆の夢を見ることが多く気になっています。占いは信じない方ですが、夢は自分の精神が影響しているので当たってしまうのではと思ってしまいます。気にしすぎでしょうか。

　nekoさん、アッサラームアレイコム！ホセインと申します。私は夢を見た後、大体嫌な気持ちで起きるのですが、その後すぐに忘れてしまいます。そのため、あまり夢について深く考えることは無いのですが、実は夢や占いを信じる人々は古今東西数多おり、その夢や占いによってやはり数多の歴史が築かれてきました。私は学生時代、歴史学を専攻していましたので、そのあたりの観点から回答させて頂きます。
　古代ローマと言うと、水道橋やコロッセオなど、大規模土木事業が有名であり、また地中海世界を席巻した軍事力と組織力も有名であり、かなり合理的な世界観を持っていたように感じる方が多いと思います。しかし、古代ローマには「夢占いの指南書」があったことが分かっています。しかも、各家の家長は夢占いの知識を持っていることが多く、また夢占いの教養が深いほど尊敬されていたそうです。特にキリスト教受容以前は、夢はゼウス神から送られてくるお告げであり、未来の禍や幸福を示唆するものと広く信じられていました。事実、「賽は投げられた」で有名な、かのカエサルも夢占いを信じていました。カエサルはある日、悪夢を見ました。しかし、その悪夢を夢占師にはなしたところ、「吉兆だ」と解釈されました。そして夢占師は「あなたは世界を征服するだろう」と述べたのです。事実カエサルはその後ガリアを征服し、ローマが地中海世界を征服する礎を築いたのでした。
　また、私はイスラームを信仰していますが、ムハンマドは数々の夢（または夢のような現実）を通して、神からお告げを賜り、また神秘的な体験（エルサレムへの昇天など）をしています。また、ムハンマドの残した言行録にはこんな言葉があります。
「人は（現世では）眠っている。死んで初めて真実に触れる」
　この世の一切は夢であり、それゆえ夢は現世とつながっているとする世界観がイスラーム世界には見られます。そして「夢解読書」や「夢の解釈」という史料が残されています。特に「夢の解釈」は高名なウラマーであるブハーリーにより、ムハンマドの言行録からつくれたものです。
　さらに言えば、古代日本の卑弥呼は占いと夢解釈によって邪馬台国をおさめ、中国は亀甲文字に代表されるようにやはり占いが重要視されていました。このように世界史は夢と占いによって築かれたと言っても過言ではないのです。
　しかしここで注意したいのは、夢についても占いについても「解釈」をどのようにするかで、全く結果が変わってしまうということです。ある意味では解釈をする人の捉え方や理解の仕方によって変わるということです。（この点、現代の法律の解釈にも似ている気がします）もし、nekoさんが特に信仰をお持ちでないのであれば、その解釈は全くの自由です。私はイスラームを信仰していますが、夢についてはあまりハディースやそれに関連する知識をつけないようにしています。（アラブ世界の文化的風習という色彩が濃いこともあり）ですから、私は夢については積極的に忘れるようにしています。もちろんnekoさんが特定の夢占師の方などを信じていたりすれば、それを信じればよいと思いますし、もしかしたら肯定的な解釈の時だけをそれを信じればよいかもしれません。つまり、夢をどうとらえるかは様々な解釈があるのですから、本来はnekoさんの自由ということです。私のように忘れるのも一つの方策です。
　と、いうことで長文になってしまいましたが、夢と占いが世界史を築いてきたのは間違いありません。しかし、その解釈をどのようにとらえるかでまた世界史は動いてきた事実があります。nekoさんが見た夢についてどのように解釈されるかは、まさにnekoさん自身のご判断で良いと思います。
　いずれにしても、夢から未来を予想できる類まれな力をお持ちのnekoさんのことを、神様はきっと見守って下さっています。
　インシャアッラー。