先入観で物事を判断する事は決して良くないと思います。その環境下は、仮に他人から見れば変だと思っても、そこで過ごす人達にとっては、かけがえのない物事だったりする。例えば宗教だってそうですよね。他人から見れば「何やってるか分からない」と思われていても、実際に考え方やその教えは、学校で教わる勉強よりも、よっぽど世の中で生活する上の教訓になるし。人間味があって明確だったりする。先入観で物事を判断するのって危険ですよね？

　ことぶきさん、アッサラームアレイコム！ホセインと申します。私は日本において、あまり良くない先入観と固定観念にさらされているムスリムです…ことぶきさんのような先入観に凝固まらない方がたくさん増えることを祈っています。
　さて、私自身、高校を卒業するころは、様々なことに先入観を抱いていました。高校生ぐらいになると、だいぶ世の中のことも分かってきます。しかし実は自分の生活の範囲に存在することだけで判断しているだけで、世の中のことはほとんどわかっていません。しかし、自分としては分かっていると思ってしまいます。そういったことから先入観はどんどん生まれてくると思います。つまり、実際に自分で見たり聞いたりしたわけではないのに、今までの人生経験やテレビやSNSなどの媒体によって得た情報で判断してしまうのです。そしてそれがあたかも正しいと思ってしまうのが一般的です。
　私は高校生の頃、世界史や倫理の時間に「無知の知」について学びました。ソクラテスの言葉として有名です。自分は何も知らないと知ることが大切だという意味です。私はこの言葉に衝撃を受けました。今まで自分はなんと傲慢に人生を歩んできたのか。大学に入ったら、自分は何も知らないことを自覚して、新しい学問を受け入れていこうと思いました。
　そして私は大学に入り、西洋史を学ぼうと思っていましたが、東洋史を学ぶことに決めました。その頃、世界ではイスラームが平和を壊すような論調がありました。高校生の頃の私だったら、それをそのまま受け入れていたと思います。しかし私は「無知の知」を自覚しており、イスラームについて詳しく知りたいと思ったのでした。イスラームを知り、そしてイスラーム世界を旅し、イスラーム世界で暮らし、ムスリムたちと触れ合うことで、自分なりにイスラームを判断できるようになりました。私が出した答えは、「イスラームは平和を生み出す宗教だ」ということでした。この経験から私は、何事も自分で直接見聞きし、判断しなくては、公正ではないと考えるようになりました。自分で感じ、自分で判断する、これが先入観から自分を遠ざける大切なことだと私は思っています。
　いずれにしても、先入観にとらわれず世界を判断しようとなさっていることぶきさんのことを、神様はきっと見守って下さっています。
　インシャアッラー。